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いきづらきもの つじやしきへ

辻隆弘<br/>文章なんてチンタラ読んでくれねえんだから、はやくマンガ描けるようになってくれよな。それもセンゴク一統記みたいな、本格派のかっこいいやつな!

下剋上、どんくさい族

世の中には一定数、どんくさい族がいる。
どこかで失敗してしまう人たち。
容量の悪い人たち。空回りしてしまう人たち。
うまくいかない人たち。
みな、どんくさい族なのだ。

どんくさい族にとって、この日本社会は生きづらい。
どうでもいいルールがあまりに多い。
日本の社会は中身よりも形にこだわる。
どんくさい族は、おおざっぱだからどんくさい族であることが多く、
よく言えばおおらか、かつ寛容なのだが、
職場においては寛容は悪だ。
おおざっぱだな、と言われてしまう。
気が利かないだの、まわりのことを考えろだの、
そんなの、自分のことなら自分でやるし、
先輩のことなら先輩が自分でやったらいいんじゃないの。
どんくさい族はリベラルでもある。
どこか現実知らずの理想主義者なのだ。
読書もよくする。頭の理想を高くして、現実との乖離が大きくなる。
そういう生き方こそ、清いのだとすら考えている。

どんくさい族はまっすぐだ。真面目でひねたところがない。
人の悪口を好まず、かといってユーモアは苦手で、
人の輪に交わる術を持たない。
仕事はどちらかといえばできるけど、
どうにも人には評価されない。
どんくさい族は人に好かれないのだ。

たいていの会社の、たいていの人たちは、
悪口が好きで、理屈が好きで、人の評価が好きで、
どうでもいいことをああだこうだと言い続けている。
そしておもしろくもないギャグをかまし、
ノリが悪いだとかで部下を注意する。
妬みや嫉みも全面に出し、気に入らないやつがいれば
せっせと悪評を生み出している。
どんくさい族は対応がきかず、ただただ途方に暮れている。
飲み会も、下衆が下衆話をするので苦手だ。

彼ら小物は、同じグループは味方、違うグループは敵
というシンプルなルールで生きている。
どんくさい族は理想が崇高なので、なじめない。
敵となってしまうことが多い。

どんくさい族はいつも孤独に苛まれている。
上司のダメだしも執拗で、辛い。
こういったどんくさい族が、心の平和を保っていきていくには
いったいどうすればいいのか。

そのいち。読書、映画、コミックに逃げる。
そのに。恋人に逃げる。
そのさん。趣味の合う人の輪に逃げ込む。

どんくさい族にとって、社会生活は持久戦だ。
時間がたてば、注意されるタネも減っていくし、
注意してくる人も減ってくる。社会のルールを覚えていくことで、
自分に価値が生まれてくる。
その結果、他人に振り回されること、悩まされることが減る。
そして平穏が訪れる。
要はそれまでの間だけ、なんとかしのいでいけばいいのだ。
大丈夫、大筋は間違っていない。

けれど。
読書、恋人、趣味は逃げの一手だ。
日々に摩耗した心を回復するための手段にすぎない。
逃げは根本解決にはならない。
苦しむどんくさい族を救う力は何か。
仕事をする力、金を運ぶ力である。
仕事ができる、ずば抜けて。
それだけですべての性質がプラスで評価される。
マイナスになることが大きく減る。
犬ともいえ畜生ともいえ、勝つことが本である。
会社で勝ちとは、金を稼ぐこと。
金を稼ぐ人間がえらく、えらいがゆえに生きやすいのだ。
よって今日も勉強に向かう・・・。